擬宝珠
てんぷらの指を擬宝珠へひきなすり
という古川柳があります。
この「擬宝珠」なのですが、なんのことかわかりますか?
これは橋のこの擬宝珠は宝珠頭(ほうじゅがしら)などと言われ、単なる柱頭部の飾りとして用いられるものです。
神社仏閣の高欄や橋の欄干に丸くて先のとがったネギの花の形のものがついていますね。あれのことです。
もっともあれはタマネギではなくて、火炎が燃え上がっているようすを示しているもので、仏教由来のものです。
宝珠(ほうじゅ)を持つ姿の仏像や仏画というのがありますね。あれのことなんです。
擬宝珠とは文字通りこの宝珠を擬したものです。
この擬宝珠にてんぷらの指を引きなすっているということは、この近くでてんぷらを食べたということがわかります。
江戸には擬宝珠ある橋は京橋か日本橋の二つしかありませんから、その橋のたもとで天麩羅屋台が商売をしていたといた様子がわかります。
江戸では「擬宝珠から擬宝珠まで」というと、当時一番にぎやかだった中心地のことをさします。
ちなみに当時、天ぷらは串に刺して食べる屋台のファーストフードでした。
だいたい一串十文ほどの値段だったようです。